2023年読んでよかった本ベスト10

読書スケッチノート

こんにちは、なつです。今年もあっという間に大晦日です。

年間100冊以上の本を読むと決めてから6年目が終わろうとしています。去年は116冊読んでいたようですが、今年は最終日ギリギリの100冊ジャストの達成。なんだろうね、読書時間はそんなに減っていないはずなので、おそらく重めの小説が多かったからかな、、と思います。

ということで、今年もやります、ベスト10!読書記録はNotionでつけていますが、星5の本は今年は3冊。去年は1冊だけだったので、それに比べると相当多いですね。ちなみに星4にすると24冊もありました。そうなんよ、この世の中には素晴らしい本が山のようにあるんです。本当に、よい世界よい時代に生まれた。

では、さっそく振り返ってきましょう!

組織開発についての知見が深まった本。

人材開発・組織開発コンサルティング――人と組織の「課題解決」入門

最初の1冊は『人材開発・組織開発コンサルティング』。私が尊敬してやまない大人の学びを科学していらっしゃる中原淳先生の著書。人と組織に関する「科学知」と「臨床知」を統合した、人材開発や組織開発に携わるすべての人のための「教科書」です。

実は今期から新しい仕事をスタートした私。会社としても個人としても初めてミッションで、手探りの状態でした。今までの経験を踏まえるときっとこういう仕事の進め方でよいだろうな、、と探り探りはじめたのが6月頭。そして、この本が発売されたのはまさに今年の6月27日。なんだろう、これ。タイミング的にも、私への誕生日プレゼントとしか思えなかったよね。(6月28日生まれです)

組織開発における考え方や仕事の進め方を丁寧に丁寧に書いてくださっている本でして。理論系の本を読んでいるときって、とはいえどうすればいいねん!て思うことがたくさんあると思うんだけど、この本は「きっとこういうことに困るよね?そういう時にはこういうヒントがあるからまずやってみて」と、中原先生が丁寧に注釈を書いてくださっているのよね。なんかもう中原先生の本気を感じて、これは絶対に受け取らなきゃ、と思った本でした。

合計2回の読書会にも参加させてもらい、たくさん考えてたくさん学びをもらいました。この本からは、「私は決して間違っていなかった」という安心感とともに「もっと私の仕事はよくなる」という希望と勇気をもらいました。先の見えない仕事に一人で立ち向かったこの1年。本当に心の支えになってくれた本でした。

間違いなく、私にとって今年のベスト1はこの本です。

人材開発、組織開発に携わる人には間違いなく、絶対に、読んでほしい本。価格5000円?いやいや安すぎるでしょ、1万でも買う。本当に。本当に良い本でした!!

人材投資のジレンマ

さて、2冊目はこちら。『人材投資のジレンマ』です。資源に乏しい日本は、これまで「人のチカラ」で成長してきたと言われてきました。ただ、世界がどんどん変わってきているいま、今までの「人材投資」だとうまくいかないことも増えましたよね。(きっと、育成に携わっている人はみんな感じているはず。)

日本企業が今までやってきたことって、このご時世で通用するのか?そこにはたくさんの「ジレンマ」がある。この変化する環境のなかで、どういう風に人材をマネジメントしていけばいいのか、という問いを、少し引いた視点で東京とアメリカの企業を比較して相違点をまとめた本。

この本でたくさんの学びを得ましたが、一番大きかったのは従業員の生産性を直接向上させる要因が2つ見つかったという内容。その一つが「プロアクティブ行動(主体的な行動)」であり、もう一つは「創造的思考プロセス(主体的な思考)」である、とのこと。

この結論は特に驚くべきことでもなんでもなくって「そりゃそうよね」というものではありますが、私にとって大きかったのはここまで明確に「この2つが重要だ」と言語化をしてくれたこと。「じゃあどうすればいいねん」を考えるに値するテーマ設定につなげることができました。

ということでこの1年の私の思考は「人間はどうすれば主体的思考を用いてプロアクティブ行動をとれるのか」でした。結論は全然出ていないので引き続き考え続ける必要はありますが、それでも良いテーマ設定ができたなと思っています。ありがとうございます守島さん、とってもよい本でした!

生き方についての知見が深まった本。

キャリア迷子 自分らしく働けない人のための「生き方提案」

人材育成と組織開発って切っても切り離せないもので、私の仕事柄、両面から考えることが大切です。そして人材育成をする上で、もちろん一人一人の「自律的キャリア」というのは考えるテーマでもあって、キャリアデザインについても定期的にインプットしています。

そんななかで、見つけた何だか異様にかわいい表紙にかわいい値段設定のこの本。正直「きっと作家個人の”私はこう考えたからみんなこう考えるといいよ”」的な本だろうと正直、本当に正直高をくくっていました、すみません!!!!これ、めちゃくちゃ良本です!!!!

え、みてよこの表紙。かわいいよね?!値段聞く?1,320円だよ、恐ろしく安いよね?!

最近はやりの「個人の経験則から一般化したキャリア自論」の本ではなく、いわゆる由緒正しいキャリア理論に裏付けされたものが、超わかりやすく書かれていて、もう感動の嵐。キャリアコンサルタントになるために勉強しまくった理論が、こうも大衆向けにわかりやすく説明&使えるものなのかと、唸りまくった本でした。こういう本待ってましたぁ!という感じの本。まじでおすすめです。本当に。キャリコンホルダーの方も是非。超勉強になります。

リデザイン・ワーク 新しい働き方

LIFE SHIFTで有名なリンダ・グラットンの著書。この書籍名を見て、本当にごめんなさいね、これもどうせ「ワーク・ライフ・バランスを保つためにさ、仕事の仕方見直そうよー!」っていう本かと思っていました、本当にごめんなさい!!!

確かに、コロナによって私たちの働き方は大きな転換期を迎えていて、仕事の在り方を見直していこうや、という本ではあるんですが、重要なのはそこじゃなくて「働く意味」と「人生の豊かさ」をリデザイン(再設計)していこうぜ、という論旨。

この本が素晴らしいのは、再設計のステップを明確にしているところ。そして一番重要だけれどもついつい飛ばしがちな「私たちが仕事をする上で生産性を支えている行動と能力はなにか」を見つけるところから始めましょう、という明確な指針を示しているところ。「そうか、そういう風に向き合っていけばいいのか」と理解できたような気がして。

そしてもっというと、これって「これからの人材育成の考え方」としても転用が利くと思っているの。とっても良い本でした、おすすめです!

人間についての知見が深まった本。

暇と退屈の倫理学

いやー来ました。こちらも星5本です。さいっこうに面白い本でした、読んでほしい。読んでほしいなぁこれは!

一時期、本屋さんにやけに平積みされていたので、気になった方も多いのではないでしょうか。2011年に出版されていた本ですが、2021年末に文庫化され、今年大流行しましたよね。こちらは職場の先輩たちとの読書会の課題本でした。

概要は「暇とはなにか、人間はいつから退屈をしているのか」という問いに対して、スピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデガーなどの哲学者の著書を頼りに考えていくという本。内容的にめちゃくちゃ難解だろうなと思っていて、確かに後半難しいところも多々あったのですが、それでも哲学初心者からみても「めちゃくちゃわかりやすい」本でした。これはもうあれだよ、だまされたと思って読んでよ、面白いよ。いろいろな人におすすめしまくった本でした。

ディストピア禍の新・幸福論

実はわたくし、ポジティブ心理学実践インストラクターの資格を持っていまして。キャリコンの資格を使いながら、日々人と組織と向き合う毎日なので、「ポジティブ心理学」の領域には非常に興味がありまして。前野隆司先生の著書には何度も何度も助けてもらい、勉強させてもらっていました。そんな前野先生の新刊。これも「コロナ禍」をきっかけに変わりつつある世界で「どう生きる?」を考えた本。

この本の中で前野先生は「人類のすべての活動はウェルビーイングのため」と定義しており、私たちがどう生きるかを、熱量を込めて書いてくださっているため、読み終えたらハイライトだらけになってしまいました。その中でも私が一番うれしかった、印象深かった学びがありまして。

つまり、わたしが提案したいのは、「お金があるほど豊かな社会」という考え方はそろそろ卒業し、「社会関係があるほど豊かな社会」という考え方をさらに進めて、「みなのウェルビーイングを願う心があるほど豊かな社会」にしませんか? という提案である。

位置: 3,297

これ、すっごく素敵だなぁと。この考え方は「ウェルビーイング資本主義」。アドラー心理学の共同体主義を地球全体に拡張した、地球共同体主義ということも言えるだろう、というまとめ方がわかりやすすぎて感動をしました。この考え方、好きだなー。

アドラー心理学の共同体感覚については下記を。この本もめっちゃおすすめ、超面白かった。

【読書スケッチノート】みんな違う。それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと。

ルポ 誰が国語力を殺すのか

会社の読書会の中で課題本を決める際に候補に挙がった本だったのですが、結局とりあげず終いになっていたこの本。kindleアンリミテッドに入っていたのを発見し、とりあえず読むじゃないですか。この本「読解力はどうすれば身につくのか」系の本だと思って読みはじめたんです。そうしたらまさかの主語の大きさまでに発展し、社会をどうするか、という課題意識がいやでも芽生えてしまう本でした。恐ろしい。

内容もめちゃくちゃ面白くて(というか興味深くて)じっくり読んでしまったのですが、何よりも、文章がわかりやすすぎる!こんなにもわかりやすく説得力がある本には久々に出会ったと感じる本で、「そうだ、確かにこれは問題だ」とまんまと課題意識を持たされてしまった、という感じです。普段全然この領域にインプットしていないのにだよ。子どももいないのにだよ。なのに「このままじゃだめだ!!」と思ってしまった。それくらいの威力がある本でした。

この社会問題に如何に向き合うか。これは子育て世代には是非読んでもらいたいですし、普段社会問題とか「自分には遠い」と感じている方にも是非読んでみてもらいたいな。一気に自分事になる感覚を味わってほしい。これは、自分が社会のために何ができるかを考えるきっかけになるエネルギーを持った本だと思います。

心を動かされた本。

傲慢と善良

さーて、こっからは楽しい話しよう。ラスト3冊は小説だー!小説って楽しいよねー!というテンションでいきたかったのに、なんでしょっぱなこんな重い本なんだ!笑

こちらはTwitterで仲良くなった友だちとの読書会の課題本で読んだ本。辻村美月さんはね、『凍りのくじら』でドはまりして、初期の本は『名前探しの放課後』まで一気に読んで。去年読んだ『かがみの孤城』も去年のベスト10に入るくらい大好きな作家さんでして(ちなみに今年は本書以外に『ハケンアニメ!』も読みました。これも星4本なので是非。めっちゃおもしろかった!)。

この『傲慢と善良』はねぇ、結婚、というか婚活、についてのいろんな男女目線での物語なんですが、まじでもーーこれ鳥肌立つくらい怖い話で、面白くって、一気読みしてしまった本です。

これは感想会がめちゃくちゃ盛り上がったのよ。やっぱり人によって感じ方全然ちがって。でも婚活中の人にはあんまりおすすめできないかも。うぐってなります、多分。これしんどい本です。

ハリー・ポッターと死の秘宝

『ハリー・ポッターと賢者の石』が日本で発売されたのは、1999年。つまり私その当時11歳、小学5年生。うーん、いつ頃だったっけ、流行ったのって。もうちょっと後?でもとりあえず小学生~中学生くらいの「読書好き」であればだれでも読んだんです、ハリー・ポッターは。だって面白かったもの!

でもその長さにいつも耐えられなくって、確か当初は『アズカバンの囚人』までしか読まなかったんだと思う。(映画は秘密の部屋までしか見ていない)で、それから何年かに一度くらい発作的に「ハリー・ポッターを通読したい」ニーズがわいてきて、その都度「頭から読もう」として『アズカバン』まではいけるんだけれど、『炎のゴブレット』の途中で力尽きてきた、、という人生を送っていました。

今年も何度目かの「ハリー・ポッターを通読しよう」発作が出たのですが、今年こそ最後まで行くと決めて。8月からまた1巻目の『賢者の石』を読みはじめ、無事最終巻『死の秘宝』までたどり着くことができました。長かったぁ。いま調べたら文庫だったら合計20巻になってるのね、だからかな、私の読書冊数が伸びなかったのは。

そんなこんなで、めちゃくちゃ長かったシリーズの最終巻なので、正直思い入れ補正が入っているとは思うのですが、この本も星5本です。めっちゃくちゃに面白かった。

シリーズ本て、最初のほうが面白かったりするじゃないですか。でもこの『死の秘宝』は、ハリー・ポッターシリーズで一番面白かったと声を大にして言える。今までの伏線をきれいに回収して、なんかもう何とも言えない読後感を味わえます。ラスト大号泣でした、これはもう、いい物語だわ。

この長さになかなかおすすめしづらくはありますが、やっぱりいいね。好きだな、この世界観。そういれば中学生の部活動(吹奏楽部)でハリー・ポッターメドレーを吹いてたの思い出したから、やっぱり小学生の時に読み始めた気がする、、?長い時を経ましたが、小学生のころから始めたこの物語を、やっと終わらせてあげることができてよかった。ごめんね、お待たせしました、あの頃の私。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

ずーっと気になっていたのですが、なかなかの長編のSFに手が出せず、ずっとkindleの中に入っていたものの読めていなかったこの本。実は読み終えたのは本日。なんだかピークエンドの法則にやられている気がしないでもないけれど、それでもごめんなさい、この本も入れさせてください、めちゃくちゃよかった!

もし、まだ読んでいない人がいて、この本を読もうとしていたら、Amazonの商品説明欄すら読まずに、読んでほしい。これ絶対事前情報入れないほうがいいよ、まさかの展開にわくわくと、ハラハラと、ドキドキと、もういろいろな感情で読み進めました。最高に面白かった。

ということで、感想言いたいことはたくさんあるのですが、誰かの事前情報になりたくないので控えます。ただとにかく面白かったから!SF好きな人絶対に後悔ない作品だから、まだの人は読もう!!!そんで読んだら話そう!!

おわりに。

長くなりましたー!以上です!今年も最高に楽しい読書体験をさせてもらいました、これらの本に世の中に出してくださった著者の方、翻訳してくださった方、出版社その他関係者のみなさま、本当に本当にありがとうございました!!

あーそれにしてもこの年末の、選書してカテゴライズして学びをまとめているこの時間が最高に楽しいのだよなぁ。来年も楽しめるように、たくさんの素敵な本に出会いに行こう。

では、ここまで読んでくださってありがとうございました!来年もどうぞよろしくお願いします!

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